再現性を意識した書き込み

ある日、親御様からこのようなメッセージをLineを通じていただきました。

 

「細かく書き込んで下さっているので、おうちで親子で復習するときに助かります」「親子で復習しながら、母親の私が先生から指導を受けているようです。」 

■ 教室は密室である

 

塾舎までお子さんを送り届け、授業終了後は再びお迎えに来て下さる親御様とお目にかかるたびに、「お疲れ様です。」「ありがとうございます。」「どうかおきをつけて。」というような言葉を乗り越えて、本当に頭が下がる想いです。

 

そのような光景が日常的になる中で、塾を開設して以来、ずっと心に引っかかっていることがあるのです。それは、塾舎に送り届けられて、「じゃあね。今日も頑張ってね。」という親子での会話のあと、お子さんが塾舎に入られてから、お迎えに来られたときにお子さんと再会をなさるまでは、「密室状態」であって、お子さんが塾舎でどういう態度で学習に接し何を学んでいるのかが伝わりにくいということなのです。

 

「今日の国語は何をしたの?」

「いつもの読み取り。」

 

お子さんは大人と比べて語彙数も語彙力もかないませんから、このような伝え方しか出来ないのです。

 

■ 塾のテキストを見ても、具体的につかみにくい

 

例えば、塾の国語のテキストをご覧になっても、○や×がつけられているだけだったり、赤ペン(赤鉛筆)で書き直しがされていても、答を書き写しているだけなのか、もう1回自分でやり直して納得出来ているのかも、親御様からすれば何ともつかみにくい・・・。試しにおうちでやり直しを親子でしようにも、主役のお子さん自身が、塾舎で取り組んだはずの読解問題の授業で習ったことの記憶を頭の中で再現できるためには、その授業内容の6割から7割を理解できていないとほとんど不可能なのですこれでは復習どころではありません。

 

■ 細かく書き込む理由は「再現性」にあり

 

先の画像のように細かく書き込めば、どうなるでしょうか? もちろん、書き込んだだけで「あとではちゃんと見てね」では、子どもたちはまず見てはくれないし、

そのまま折りたたんでカバンに入れるだけになってしまいますから、書き込んだものを手渡すときに、必ず、指摘箇所を再考させます。

 

その後、「新しいのをもう1枚渡すから、おうちでやり直しておいで。」と指示を出す一方で、このような画像をスキャンして、お母様にLineを通じてお送りし、復習をして下さるようにお願いします。

 

このようにすることで、少しでもお母様の頭の中に、お子さんが塾舎でどのような内容を学習し、その後のアドバイスをどのように受けているのかをイメージしていただけるようにしておくと、お子さんが帰宅なさったあとで「現物」をご覧になったとき、より鮮明に指導内容を把握していただくことが出来ます。

 

その後、お子さんがおひとりで復習する場合は、こちらが書き込んだものを見ながら、授業内容を頭の中で再現できますし、親子で復習をして下さる場合でも、こちらが書き込んだものをお母様がご覧になりながらお子さんの指導もしていただけます。国語読解の成績を伸ばすには、この「再現性」が重要だと考えています。

 

■ 国語読解の成績は、このようにして上がっていく

 

読解問題を苦手とするお子さんの答案は、独特です。

答案用紙を見ると、三択とか四択の記号問題は埋めているけれど、「書き抜き問題」や「文章中の言葉を使って」というような記述問題の部分がきれいさっぱりと抜けていることです。

 

この原因は、「あ、こういう問題は自分には無理!」「分からん!」と決めつけていて、端(はな)から向き合おうともしないで逃げているからです。

 

とはいうものの、「もっとちゃんと読め!」と言ったところで、「ちゃんと読む」ということがどういうことなのかすら分かっていません。

 

「ちゃんと読め!」と言う前に、どういう読み方をするのかをひとつずつ教え諭さねばならないのです。この指導には根気が要りますが、必ず伝わります。

 

伝わり始めると、「書き抜き」の問題に変化が現れます。

 

最初の段階では、指定された文字数の所を文章内からとにかく探し出すという「努力」をします。そこが正解箇所であればもちろん○をもらえますが、ときには字数は合っていても間違う場合には×になる。それを繰り返すのです。

 

それでもそのうちに「書き抜き」の正解率が上がってくると、「文章の中の言葉を使って」という記述問題も書き始め、やがて部分点でもいいから(点数を少しでも)もらおうとするようになります。

 

この流れが出来てきた人は、確実に成績が上がっていき、他教科にもこの影響が波及していきます。